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年齢と向き合うサーフボード-5

2020/05/23
 
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日本でのオリンピック開催まで1年を切った2019年の秋。
サーフィンが競技種目になり、数年ぶりに再開する方も多い今年。

5年ぶり10年ぶりに新しいサーフボードを使われた時、進化して乗り易くなった性能に驚かれると思います。

多少ボードサイズが体に合っていなくても波に乗れた若い時と違い、年齢が上がれば誰もが緩やかに筋力は衰え体力は落ちているので、サーフボードの大きさや各モデルの性能の特徴はとても重要になり、若い時よりも慎重なボード選択が必要になってきます。

2019年モアナでお勧めしている沢山の波に乗れるサーフボードをご紹介いたします。
どれも多くの波に乗れる事に優れ、サーフィンのレベル、求めるスタイル、体の大きさ、年齢、などをバランス良く考慮して選択していただければ、年齢が幾つになっても休日のサーフィンを楽しませてくれるデザインになっています。

左から、小波にも強く十分ハイパフォーマンスなロケットワイドとネックビアード2。

日本の平均的なコシムネサイズの波では現在ベストパフォーマンスモデルの2本。
波のフェイスが柔らかく、ボヨつく日が多い日本のコンディションにはアウトラインの幅が広く丸みの多いモデルはいつでも活躍してくれ、長年パフォーマンスボードを楽しまれるアマチュアサーファーにとっては十分すぎるハイパフォーマンスボードになっています。

年齢や体力に合わせたサイズ選びをしていただければ幾つになってもパフォーマンスを楽しませてくれるモデルです。

サーフィン歴が30年〜40年という方のほとんどがショートボード世代。
長年ショートボードを楽しまれてるサーファーは、やはりリップアクションが大好きな方が多く、乗れるだけのサーフボードには満足できず、沢山の波に乗れてアクションも楽しめるサーフボードを求めてしまうのが本音です。
ロケットワイドとネックビアード2はそんな欲望を叶えてくれるサーフボードと言えます。

EPSフォームを使ったスパインテックで新たなスピードを体験されるのも刺激的です。


10年近く前の発売当初から愛用しているネックビアード。
僕自身が現在使っているネックビアード2は初期モデルから5本目になり、一つのモデルをこれだけの長い期間使っているのは他のモデルでは無く、お気に入りのベストボードです。

幅広のテールが波にひっかりませんか?という質問をいただきますが、全くその様な事は無く、むしろ幅広のテールはパンチが増し、苦手なパートのターンを行い易くしてくれます。

誰もが、ご自身のサーフィンが一段上手くなったと感じていただけるサーフボードです。

久しぶりに使うと、やっぱり良いなネックビアードというのが皆さん使用後の感想になります。


現在チャネルアイランズ のラインナップの中でも、最も多くの波に乗れる事を優先できる
Ciフィッシュとウルトラジョー。
どちらも日本の波とは相性良く、膝腰から頭近いサイズの波まで使用でき、トライフィンでパフォーマンボードの様に扱えるウルトラジョー、ツインフィンでスピードとドライブ感に優れたCiフィッシュになります。

テイクオフはどちらも十分に速く、アウトラインからも他のモデルには無いラクなテイクオフを体感していただけ、体型の変化や加齢によって低下してしまった体力を最も補ってくれるのは現在この2モデルになります。

今まで以上にたくさん乗れるこの2モデルのどちらを選択するかは一番悩んでしまうと思います。
どちらも乗り味にはしっかりと個性が出ていますが、難しい癖などは無く、それぞれの個性を楽しんでいただければアウトラインやデザインの好みで選ばれても問題は無いと思います。

2モデルを比較した時にチェックしていただきたいのは、それはレールボリュームになります。

フィッシュボードのアウトラインに現代風のパーフォーマンス性を取り入れたCiフィッシュのレールは薄く落とされテーパーレールに仕上げられています。
逆に短さの中に十分な浮力を取り、Vボトムでパフォーマンスを上げているウルトラジョーのレールは丸みの多いボキシーレールに仕上がられています。

体重の軽い方がウルトラジョーでレングスを長めにして沢山の波に乗ろうとした場合、浮力の強すぎるボードはテイクオフの時に浮き上がって波の斜面を滑り降りなくなり、乗れたとしてもボリュームの多いレールはコントロールが難しく感じてしまいます。

これが体が大きく体重も多い方には逆の作用になり、多くの波に乗れ、ボキシーレールに加重する事でフェイスの柔らかい小さな波でも加速でき楽しむ事ができます。

フェイスが柔らかく、なかなか海外の様なロングショルダーの少ない日本の波質には身長に近い長めのレングスのサーフボードが多くの波に沢山乗れ、サーフィンの楽しさを実感していただけます。

どちらを選ぶかに決まりは無く自由ですが、レールボリュームは大きく違い、同じレングスでも容積の差は大きくなるのが、沢山の波に乗れる2モデルの個性の違いになります。


OGフライヤーのOGはオリジナルという意味の長い歴史を持つモデル。
世界中のショートボードの元となるボトム形状を生み出したフライヤー、ベーシックな乗り味に現在のハイパフォーマンスを取り入れたモデルになりどなたでも扱い易いモデルになっています。
OGフライヤーは短くすればコンテストで使えるモデルになりますが、長めのレングスと多めの容積を確保できるのはこちらのモデルになるので、最近の短いサーフボードに不安のある方にはお勧めです。

同じパフォーマンスボードのフィーバーのレングスアップもお勧めですが、ノーズ幅を比べるとOGフライヤーは安心感を持てます。

6’5″ミッドレングス 、魔法のサーフボード
ショートボードでは今まで乗れなかった奥のピークから軽々とテイクオフでき、波のフェイスを高速で走り抜け、ブレイクが終了する波打ち際まで乗り繋げる魔法のサーフボード。

長年使っているショートボードとは全てが違う世界になり、その楽しさはとても新鮮であり高揚感に満たされるサーフボードです。

ギミックのミッドレングスは写真の他5タイプとは異なり、ドルフィンスルーが可能なギリギリまで容積を増やし、扱いやすい長さまでレングスを伸ばす事で、ショートボーダーの方には別人になったかの様に、想像を遥かに超えた多くの波に乗る事ができるサーフボードです。

今年の春から多くの方にご注文いただき、お身体の大きさの違い、男性女性、様々な方に喜んでいただける新しいレングスのサーフボードです。


販売開始から数年経ち、ニューモデルのカテゴリーから既に外れてしまっているCiツイン。
ネックビアードと並び、こちらも手放せない、年齢をフォローしてくれるサーフボードです。
腰腹から頭オーバーの波で使え、ノーズ幅が広いので安定感が高く、インチアップして容積を多めにしてもツインフィンかツインスタビの設定は軽快なターンを可能にしてくれます。
現在はカスタムオーダーのみなっていますが、長く使えるショートボードをお探しの方には是非手に入れていただきたいモデルです。

僕が使うCiツインは他のショートボードに比べ最も容積を多くして使っています。
これは、ただ容積を多くして沢山乗れる為だけでは無く、今後もっと自分の年齢が上がった時でもショートボードを使え、軽快なターンが出来る様にする為の準備でもあります。
年齢が進み、誰もが体重にぴったりと合ったショートボードに乗る事を辛く感じる時がきます。
体が衰え始めた事を感じた時に急にレングスを長くしたり大幅な容積のアップは、自分のサーフィンを見失ってしまい、まだまだ楽しめたはずのサーフィンが深い霧の中に迷い込んでしまう事になってしまいます。

そんな事にならない為に、年齢に向き合ったレングスや容積アップを行い、いつまでもサーフィンを楽しめる早めの道具の準備が必要となります。

沢山の波に乗れるのがサーフィンの楽しみ、でも乗れるだけのボードでは退屈になってしまうのが経験の長いショートボードを使うサーファーの同じ気持ちです。


CiツインとCiフィッシュの2枚フィンのセッティングはスピード性能に優れ高いドライブ性を体感していただけるトライフィン設定には無いサーフィンの世界があります。
長年トライフィンだけを使っている方ほど、ぜひ2枚フィンの世界に足を踏み入れてみてください。
年齢を問わず、多くの方にサーフィンが楽しくなったという感想をいただきます。

年々進化しているサーフボード、お身体の大きさや年齢に合ったサーフボードを手に入れてこれからも長くサーフィンを楽しんで下さい。

今季から取り扱いを始めた鴨川在住のシェイパーJUNJI SONODAサーフボード。
ハンドシェイプからオリジナルのモデルを生み出し、丁寧な物創りが出来るシェイパーです。
僕がオーダーしたモデルはJILL。
広いノーズエリアがテイクオフに安定感を与え、絞り込んだラウンドテールによって素早いレールの切り返しとターンが行えるデザインになっています。
5’5″の容積27Lから、年齢や体力に合わせてレングスを伸ばせ、7ftサイズもオーダー可能です。
JUNJI SONODAサーフボードは海外ブランドとは違い、鴨川にあるシェイプルームにて直接シェイパーと話してサーフボードのオーダーをできる楽しみがあります。

JILL以外にも豊富にあるモデルラインナップから選んでいただき、年齢やサーフィンのレベルに合わせてカスタムオーダーできる日本ブランドです。

コーチングの仕事も落ち着き、SKサーフボード開発に集中している糟谷プロ。
8月の日本滞在中に会い、年齢と向き合うサーフボードについて相談してみました。

現在58歳の糟谷プロがお勧めするモデルはスピードボール2。
まだまだ素晴らしいパフォーマンスを行う糟谷プロが使うサイズは5’9″。
ローロッカーでボリュームの多いスピードボール2はお身体の大きさや年齢に合わせてレングスを調整して長くしていく事が可能なモデルになります。

ジョディースミスの専属シェイパーであるクリスギャラガーがデザインするSKサーフボード。
世界のサーフボードのトレンドに最も詳しく、58歳になった糟谷プロは年齢に合わせたサーフボードについて実用的で的確なアドバイスをしてくれます。
今冬からSKサーフボードのスピードボール2をカスタムオーダーしていただけます。


サーフィン歴35年、来年の2月に55歳になる自分の年齢に驚いている最近。
現在は腰痛や肩こりなどは無く、2〜3時間ぐらいのサーフィンではほとんど筋肉痛を感じる事もありません。
以前はギックリ腰や40肩50肩に襲われ、サーフィンが満足に出来ない時期もありましたが、今はその様な時間は少なくなっています。
50歳ぐらいの時に良いスポーツトレーナーに出会い、身体のメンテナンスを受けながら多くのケアの方法を学び、日々ストレッチで筋肉を柔らかくほぐす事に努め、最近では40歳代の頃よりもサーフィンはスムースで調子良く、ムリな身体の動きは少なくなったと感じています。

長年サーフィンを続け、現在の年齢になり最も大切と思うのは身体の柔軟性です。
これはどのスポーツでも共通の事ではあると思います。

最近スポーツジムに通い身体作りに励んでいる方を多く見かけます。
重たいダンベルを持ち上げ負荷を掛ける事で肩甲骨や脇の下の筋肉は硬く柔軟性を損ない、パドリングを行う腕がスムースに伸びずに短いストロークになってしまっています。
1時間ぐらいのサーフィンで腕が上がらなくなったり、疲労を感じてしまう様では肩周りの筋肉はあまり良い状態とは言えません。
何キロも泳ぎ続ける事が出来る水泳選手の様に、伸び縮みが良く疲労を感じない肩周りの筋肉の維持が大切になります。

現在のサーフボードはとても高性能になりどなたでも楽しめる道具になっていますが、そのサーフボードを滑り出させるのはご自身のパドリングであり肩周りが動力源になっています。

背中や肩甲骨周辺の筋肉が硬く柔軟性が足りないと、パドリング時に腕は回りにくく胸をそれなくなり、体が辛いので、どうしてもサーフボードの後ろに乗ってパドリングしてしまう様になります。
後方に乗ってパドリングをするとサーフボードのノーズは浮いてしまい、本来の早い滑り出しを引き出すことは難しくなってしまいます。

年齢と向き合い、確かなサーフボードを手に入れても動力源が錆びていては楽しむ事は出来ません。

身体を柔らかく筋肉を柔軟に保つというのは、年齢が上がるほど大切になってきます。

Keep Paddling この言葉はサーフィンにとって最も大切になり、スムースなパドリングからのテイクオフが良いライディングにつながります。
正しい姿勢でパドリングを続けていく事が、サーファーにとっては永遠に重要です。

少し前ならここで、サーフィン前にビーチではしっかりと入念にストレッチを行ってくださいとお伝えしますが、これは古い昔の話になり、現在のスポーツでは競技に入る前に静的ストレッチをする事で筋肉は伸びて緩んでしまい、キレの悪いパフォーマンスになるとされています。
日々自宅では十分なストレッチを行い、サーフィンで海に入る前のビーチでは動的ストレッチで筋肉と体幹に刺激を与え、これから運動するという事を筋肉に伝える事が現在のメソッドになっています。

9月に宮崎県木崎浜で開催された2019 ISA WORLD SURFING GAMES
この大きなコンテストを絶対に見に行きたい理由があり、それはアメリカの代表選手でワールドツアーでも活躍している現在47歳のケリースレーターのサーフィンと競技に向かう前の準備を見たかったからです。
日本の海、それも一般的なビーチブレイクで彼を見れるのは今回が最後だったのではないでしょうか。
ブラジルのメディーナやフィリッペ、イタロフェレイラの強い脚力からのバネのあるサーフィンも見応えがありましたが、47歳になるケリーの行動からは目が離せませんでした。

やはりケリーが競技の前に行っていたのは体幹の筋肉への刺激。
決してビーチでは、筋肉を伸ばす動作などはほとんど行っていません。

普段からヨガやストレッチで身体を柔軟に保っているケリー、毎回ヒート前には同じルーチンを行い体幹に刺激を与えてから競技に向かっていたのが印象に残っています。

コンテスト前半に使っていたのは5’5″のツインフィン。
トップスピードを得やすくキレのあるライディングが可能なツインフィン。

コンテストの後半はサイズアップしてジャンクなコンディション。
ラウンド7準決勝でのメンバーは全て20代、ケリーは25歳前後の歳上。
この時のコンディションで20代の選手と対等に戦っているのは、信じられない47歳です。

身体は引き締まり、様々な国の選手と常にフレンドリーに会話していた47歳のケリー。
素晴らしスポーツ選手でした。

アメリカの代表選手はコンテスト会場での体調管理にも積極的で、風が吹いて気温が下がれば直ぐにジャケットをはおり、気温が高い日中にはナイキから提供されているアイスベストを着て体温の管理をこまめに行っています。
暑い日にこのアイスベストを使い肌温度を下げる事で、5%パフォーマンスが向上するそうです。
運動を行うための身体作り、冷えに対する予防、年齢と向き合うサーフボード以上に大切なのが
年齢と向き合う体調管理です。

年々進化して年齢に関わらず誰もが楽しめる現在のサーフボード。
高性能になるサーフボードを滑らし走らすのはご自身の身体であり、動力源は自分の筋肉です。

ケアを行っていない身体や、筋トレでガチガチになった筋肉よりも柔軟でしなやかな筋肉が怪我の予防となり長いサーフィンライフとスタイル良いライディングの秘訣になるのではないでしょうか。

新しいサーフボードの事を色々考えてる時はサーファーにとって一番楽しい時間になりますが、年齢が上がるにつれご自身の筋肉、動力源を見つめ直していただく事で、波に乗れる回数は増え、いつまでもサーフィンを楽しんでいただける様になると思います。

年に一回ぐらいのペースでこの年齢に向き合うサーフボードの記事をアップしています。
昨年の今ぐらいにCiフィッシュが届き、その後にネックビアード2が到着。
夏の終わりまで様々なニューモデルを使い、9月のケリースレーター来日。
春ぐらいから記事は書き始めて、完成するまでに7ヶ月掛かってしまうスローなネタです。

いつもサーフィンのレベルよりも年齢に対してのサーフボード選びや身体にフォーカスして記事を投稿しています。

年齢と向き合うサーフボードと体調管理、いつでも相談してください。

2019年10月28日

良い波がブレイクする月曜日。

しっかりとしたウネリが続き、波のサイズはムネカタ時々アタマ。

長いレフトの波。

ウエットスーツは薄手のフルスーツ。

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