年齢と向き合うサーフボード-3
夏のような気温の水曜日。
西の風と東のウネリが続き、波のサイズはカタ〜アタマ。
明日まで南西の風が続き、金曜日から北寄りの風に変化しそうです。
幅広い年齢の方が楽しむ現在のサーフィン。
2020年のオリンピック種目にも選ばれ、
若い方から60歳、70歳の方も没頭してしまう魅力あるスポーツ。
2016年タヒチのコンテストでは、当時44歳のケリースレーターが優勝。
様々な環境の方が楽しめる現代のサーフィン、
その元になっているのはサーフボードの進化があります。
10年前のサーフボドとは比較にならない進化をしていて、大きなターニングポイントになったのは6年前に登場したネックビアード、そして誰もが1本目のライディングから興奮してしまう4年前に登場したニューフライヤー、それ以降のサーフボードはみな高性能になり、滑り出しはさらに早く、誰もが休日のサーフィンを楽しめるデザインになっている最近のサーフボード。
昨年登場したサンプラー、ブラックアンドホワイトそしてツインフィン、ロケット9は、どれも推進力が向上していて、最高速度が上がっている事を実感できます。
高性能になったサーフボードはアクションが行いやすくなり、誰もが波のフェイスを自由に走れる性能を備えるようになっています。
そして最も一般のサーファーにとって高性能が影響しているのは、加齢や忙しい仕事での運動不足のハンデをサーフボードが十分補ってくれる点です。
30年40年と長年サーフィン楽しまれている方も現在は50〜60歳近く。
まだまだサーフィンを続けられますが、体力の低下は逆らえないところです。
カリフォルニアのリンコンの様なポイントブレイクでドルフィンスルーも少なくピークに到着できる場所が少ない日本のサーフポイント事情、ビーチブレイクが多い千葉周辺のサーフポイントも常にドルフィンスルーを行いながら波を捉える行動を繰り返し、良いピークを探さなければならないのが現実です。
この作業は若い時も歳をとっても変わらなく、幾つになってもキープパドルとご自身に合ったベストサイズのサーフボードがサーフィンには必要になります。
昔からサーフィンを続けている方はショートボード世代、体力が落ちたからと突然ロングボードに変えても、扱い慣れていない大きなロングボードは逆に体力を消耗してしまいます。
取り回しのラクな4ドアセダンの乗用車から大型トラックに乗り換える様な感覚です。
体力の衰えを感じた方が、ボードのサイズを大きくアップさせて苦戦している姿を見かける事が多くなった最近、急激なインチアップは慣れ親しんだご自身が乗るべきピークポジションも変化してしまい、強い浮力アップしたボードはフェイスを滑り降りる前に浮かび上がってしまい、逆にテイクオフを遅らせてしまう現象が発生するため、強浮力に合わせた新たなピーク探しから始めなければならなくなります。
年齢と共に低下してしまう体力や筋力、現在は性能の良いショートボードが多くなり選択肢が広がった事で、ご自身の体力と技術をしっかりサポートしてくれます。
レングスや浮力のアップなど少しの変化で劇的に毎週末のサーフィンが楽しくなってしまうのも最近のショートボードです。
しっかりと年齢や体力と向き合い、正確なサイズのボード選びがサーフィンを長く楽しむ秘訣だと思います。
今春、カスタムオーダーが出来上がってきた、60歳になる3名の方のボードをご紹介します。
ご紹介する3名の方は、40年間続くサーフィン仲間であり、オールシーズンサーフィンを楽しまれています。
モアナには2年前のボードご注文から来店していただき、今回のカスタムオーダーまで様々なご相談を行いながら、僕自身も年齢と向き合うサーフボードについて良い勉強になっているお客様です。
鈴木さんのカスタムはブラックアンドホワイトの6’2″容積は31.4L。
それまで使っていたのはニューフライヤーの6’1″ 35.3L。
山中さんがカスタムされたロケット9は6’0″容積は32,4L。
2015年に山中さんがカスタムされたのは6’3″のニューフライヤーで容積は37,5L。
伊藤さんのカスタムはSKのスピードボール6’0″容積は33L。
以前使っていたのはクリステンソンの6’3″容積は40L。
伊藤さんは前回出来上がった33LのSKが使いやすく、最近さらにレングスを短くして出来上がったロケット9は5’11″で容積は30,4L。
取り扱いが楽になり、滑り出しも十分な早さ、ベストサイズと感想をいただいたロケット9。
60歳の記念にみなさんがオーダーされたボードは、全てサイズダウンされている事に注目してください。
年齢が進むと共に、ボードサイズを上がれば大丈夫という考えから
現在のサーフボードの性能にお身体の大きさを考慮して、さらに楽に沢山の波に乗れ、サーフィンのライディングをキープできるサイズ選択をされています。
現在のサーフボードは平均のレングスが全て短くなっているので、20年前に皆さんが使っていた長さはあまり必要なくなってきています。
ご自身の体でホールド出来ない強い浮力は、波に巻き込まれる可能性を高めてもしまいます。
これは年齢だけでなく、軽量な女性や筋力の弱い男性にも該当すると思います。
レングスを長くした方がやはり滑り出しの部分では有利になりますが、浮力は体重に合わせた調整が必要になります。
今回出来上がったカスタムボードはとても満足していただき、お話をしているとサーフィンが若返っているのが伝わってきます。
現在のサーフボードには容積表示をされた物が多くなっています。
ご自身の体重に対して容積をどのぐらいにすると、どのような浮力感になるのか、
アウトラインや使われる素材によって違いは出てきますが、下記の5段階を数値にして求める事ができます。
1、簡単に沈められる
2、やや沈めるのが大変
3、波数が多くなると沈められなくなる
4、1回だけなら沈められる
5、ほぼ沈める事が出来ない
様々な容積のサーフボードを使い、体重に対して数値を出せるようにしましたので、カスタムオーダーの時にぜひ相談してください。
年齢や体力と向き合うサーフボードのレングスと浮力の関係、ムリがなく扱いやすいサーフボードを手に入れて休日を楽しんでください。